ネイルモニターの契約とSNS集客、写真の権利

集客の中心であるSNSとモニター施術。写真の権利と広告の表示ルールを、契約で整理しておきます。

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見返りを渡してお願いした投稿は、店の広告です。広告であることが分からない投稿は、ステルスマーケティング規制の対象になります。
ネイルサロンの集客は、InstagramなどのSNSと、モニター施術・口コミが中心です。その分、写真の権利、お客様の同意、モニター価格と宣伝協力の関係、ステルスマーケティング規制といった、契約で整理しておくべきことも増えています。このページでは、集客に関わる約束ごとを、事務所の実例をもとに整理します。

モニター価格は「宣伝協力との交換」として書面にする

モニター価格は、単なる値引きではなく、写真の撮影や感想の提供、SNSでの紹介といった宣伝への協力と引き換えにした取引です。ところが実際には、割引だけ先に提供して、協力の内容は口約束のまま、というケースが少なくありません。モニター契約では次の点を決めておきます。

モニター契約で決めておくこと
項目内容
協力の内容撮影の有無(手元のみか顔も含むか)、感想の提供、SNS投稿の回数と期限
掲載の範囲ホームページ・SNS・チラシなどの媒体、本名・イニシャル・顔の扱い、掲載期間
撤回したい場合掲載の取り下げを求められた場合の対応と、印刷済みの媒体の扱い
協力しなかった場合通常価格との差額を請求するかどうか(相手が消費者の場合、過大な請求は消費者契約法で無効になる部分が出うる)
広告であることの表示SNSに投稿してもらう場合の表示の方法(「PR」などの表記の位置と文言)

ステルスマーケティング規制で責任を問われるのは、依頼した店

令和5年10月1日から、事業者の広告であることが一般消費者に分からない表示は、景品表示法の不当表示(ステルスマーケティング)に当たります。モニター価格や無料施術の見返りとしてお客様やインフルエンサーに投稿をお願いすれば、その投稿は店の広告に当たり、表示の責任を問われるのは依頼した店です。

  • 見返りを渡して投稿をお願いする場合は、広告であることを示す表示(「PR」「広告」「モニター施術」など)をお願いし、その方法を具体的に伝える
  • 表示の漏れが見つかった場合に、修正や削除をお願いできるようにしておく
  • 投稿の内容を店が指定する場合は、誇大な表現や効果をうたう表現にならないよう確認する

施術写真の掲載は、規約と同意の2段階で

施術写真の掲載については、規約・PP・特商法のページでも触れたとおり、爪だけの写真と、顔が写る写真とで、同意の取り方を分けるのが現実的です。整体院の例では、写真・動画・インタビュー・氏名を広告に使うことについて、媒体(ホームページ/SNS/チラシ・看板/店内掲示)ごとに「同意する/同意しない」を選んでいただく形にしていました。

あわせて、プライバシーポリシーの利用目的に「広告・宣伝」を入れておく必要があります。利用目的に書いていないまま、お客様の写真や感想を広告に使うと、ポリシーとの整合が取れなくなります。

スタッフが撮った写真、スタッフのアカウント

集客のための写真や投稿は、スタッフが作ることも多くあります。業務で作った写真・投稿の権利を店に帰属させるのか、スタッフ個人のアカウントに載せてよいのか、契約が終わった後にどうするのかを、スタッフ契約で決めておきます。秘密保持の誓約書では、ビフォーアフター写真の無断投稿や、顧客情報のスクリーンショットの共有を、具体的な禁止行為として書いておくと実効性が上がります。

口コミ・紹介キャンペーンの注意点

  • 口コミの投稿を条件に割引や特典を提供する場合も、その口コミは店の広告に当たりうる。投稿者に表示をお願いする
  • 良い口コミだけを書いてもらうよう誘導したり、店が口コミを書いたりすることは避ける
  • 紹介キャンペーンでは、紹介者・被紹介者それぞれの特典、適用の条件、終了の時期を規約に書いておく
  • 景品の提供には景品表示法の上限規制がかかる場合があるため、高額な景品を付けるキャンペーンは事前に確認する

ホームページ・SNSの表現で気をつけたいこと

ネイルケアの効果をうたう表現や、医療を思わせる表現は、医師法・薬機法・景品表示法に関わる規制の対象になりえます。事務所が修正した美容機器の契約書では、「改善する」と言い切る書き方を、「成果を保証するものではなく、改善に寄与する可能性に基づいておすすめするにとどまる」という書き方に改めました。ホームケア商品の販売や、スクールの講師がSNSで発信する際の表現も、同じ考え方でそろえておきます。

事務所の実務メモ:集客まわりの書類で、実際に整えたポイント
  • モニター契約では、講座の録画・公表を禁止する条項と、SNSでの紹介をお願いする条項が同じ契約の中でぶつかることがあります。禁止の範囲と例外を、最初からセットで設計しました。
  • スクール生の受講風景・作品・氏名を広報に使う同意には、「名誉・信用を不当に害する態様では使わない」という歯止めを併記しました。無期限・包括的な同意の扱いには検討の余地があることもあわせてご説明しています。
  • 認定サロン制度でビフォーアフター画像を広告に使うことを許諾する場合、虚偽・誇大・医療類似の表現の禁止をセットにしました。

よくあるご質問

モニター価格で施術して、SNSに投稿してもらうのは問題ありませんか?

問題はありませんが、見返りを渡して投稿をお願いする以上、その投稿は店の広告に当たります。広告であることが分かる表示をお願いし、モニター契約で協力の内容と掲載の範囲を決めておきます。

お客様の口コミを集めるために特典を付けてもよいですか?

特典を付けること自体は可能ですが、特典と引き換えの口コミは店の広告に当たりうるため、投稿者に表示をお願いする必要があります。良い口コミだけを書くよう誘導することは避けます。

お客様の写真をチラシに使いたいときは?

チラシなど印刷物への掲載は、事前に明確な同意を得ておきます。印刷・配布した後は取り下げが難しいため、同意の段階で媒体と期間を伝えておくことが大切です。

スタッフが個人のInstagramに施術写真を載せてもよいですか?

店の方針次第です。業務で撮った写真の権利の帰属と、個人アカウントへの掲載の可否、契約終了後の扱いを、スタッフとの契約で決めておきます。

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