ネイルサロンの利用規約・プライバシーポリシー・特商法表記

役割の違う3つの書類を、ネイルサロンの実態に合わせて整える方法を、実例をもとに解説します。

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「3点そろえた」だけでは店を守れません。お直し保証、写真の掲載、健康に関わる情報の扱いまで、中身で差がつきます。
利用規約・プライバシーポリシー・特定商取引法に基づく表記は、役割の違う3つの書類です。「とりあえず3点そろえた」状態でも、中身がテンプレートのままでは、肝心なときに店を守れません。このページでは、ネイルサロンの実例をもとに、それぞれに書くべきことを整理します。
3つの書類の役割
書類誰に向けたものか主な中身
利用規約サロンを利用するすべてのお客様予約の成立、キャンセル、お直し保証、禁止事項、写真の掲載、規約の変更
プライバシーポリシー情報を預けるお客様取得する情報、利用目的、委託先、保管期間、開示請求の手続
特定商取引法に基づく表記ネット上で申し込むお客様事業者情報、料金と追加料金、支払時期・方法、キャンセル・返金の条件

利用規約に書いておきたいこと

予約の成立と受付の制限

予約は、店からの「予約確定のご連絡」がお客様に届いた時点で成立する、と書いておくのが基本です。予約を受けるかどうかは店が判断し、確定の連絡までは契約が成立していないことを明確にします。あわせて、無断キャンセルや遅刻が続くお客様の予約をお断りできること、未成年のお客様は親権者の同意が必要であることを書いておきます。

お直し保証は「期間・原因・申請方法・対象外」の4点で

ネイルサロンの規約で特に重要なのが、施術後のお直しです。事務所が作成したサロン規約では、次のように整理しました。

  • 施術の完了から7日以内に、店の過失による施術の不具合が確認された場合に限り、無料で直す
  • 申請は、不具合が分かる写真をLINEで送っていただく方法にする(状況の記録が残る)
  • 対象外を具体的に挙げる:強い衝撃や無理に剥がしたことによるもの、水仕事など日常のケア不足によるもの、施術後の「やはり別のデザインにしたい」というご希望、施術時に説明した内容どおりの仕上がり
  • ネイルの持ちには、生活習慣・体質・外的な要因によって個人差があることを書いておく

規約を変更するときのルール

規約を後から変更する場合、民法の定型約款のルールでは、変更がお客様の一般の利益に適合するとき、または契約の目的に反せず、変更の必要性、変更後の内容の相当性などに照らして合理的なときは、効力発生時期を定めたうえで、変更する旨・変更後の内容・効力発生時期をインターネット等で周知することにより、個別の同意なく変更できるとされています(民法548条の4)。後者の場合は、効力発生時期までに周知しなければ変更の効力が生じません。「告知日以降に利用したら同意したものとみなす」だけの簡易な書き方より、効力発生日の何日前までに、どこで知らせるかを書いておくほうが確実です。

自宅サロン・郊外サロンならではの項目

  • 駐車場は場所の提供のみで、車両や車内の物品の保管はお引き受けしないこと(店に故意または過失がある場合の責任まで免除する書き方にはしない。責任の上限を定める場合は、軽い過失の場合に限ることを明示する)
  • 所在地は市区町村まで公開し、詳しい住所は予約確定後にお知らせすること
  • 一人で運営しているため、体調不良などで予約日時の変更をお願いすることがあること

施術写真のSNS掲載は「2段階の同意」で

デザインの写真をInstagramなどに載せることは、ネイルサロンの集客に欠かせません。一方で、無断で掲載したことがトラブルの原因になることもあります。事務所が作成した規約では、次のように段階を分けました。

SNS掲載の同意の分け方
写真の種類同意の取り方
爪だけの写真・ご感想利用規約への同意で掲載に同意したものとし、希望しない方は予約時か施術前に申し出ていただく
顔が写る写真・個人が分かる情報その都度、明確な同意をいただいてから掲載する
お客様が店をメンションした投稿店がリポスト・リストーリーすることがある旨を書き、希望しない場合は申し出ていただく
掲載後の削除合理的な理由があれば削除に応じる。ただし印刷・配布済みの媒体は対象外とする

モニター価格と引き換えにSNSへの投稿をお願いする場合は、その投稿が店の広告に当たります。広告であることが分からない投稿は、景品表示法のステルスマーケティング規制(令和5年10月1日から)の対象になり、責任を問われるのは依頼した店です。モニター契約では、広告であることを示す表示の方法までお願いしておきましょう。

プライバシーポリシーは「健康に関わる情報」を前提に

ネイルサロンは、氏名や連絡先だけでなく、爪や皮膚の状態、アレルギー、施術前後の写真など、デリケートな情報を扱います。事務所が作成した個人サロン向けのポリシーでは、取得する情報を具体的に挙げました。

  • 氏名・生年月日・電話番号・住所・職業
  • 予約履歴・施術履歴・カウンセリングの内容
  • 爪の健康状態、アレルギーや皮膚トラブルの有無
  • 施術前後の写真、ご感想(LINEのメッセージや施術中の会話でいただいた感想を含む)

アレルギーや皮膚・爪の疾患、服薬の状況などの情報は、内容によっては「病歴」などとして要配慮個人情報に当たる可能性があります(個人情報保護法2条3項)。要配慮個人情報を取得するには、原則としてあらかじめ本人の同意が必要です(同法20条2項)。カウンセリングシートに、利用目的を示したうえで同意をいただく欄を設けておくと確実です。

個人サロンのプライバシーポリシーで見落としやすい項目
項目書き方の例
取得しない情報「メールアドレスは取得せず、ご連絡はLINEで行います」「カード番号は当店では保存しません」
委託先予約システムの運営会社、決済代行会社に、必要な範囲で情報を預けること
LINE配信「月1回程度の一斉配信」と頻度まで書き、キャンペーン案内は希望者のみにする
保管期間利用目的を達成した後、原則として3年間保管し、その後廃棄する
開示請求本人確認書類の提出、代理人の場合は委任状、回答の目安(30日以内など)
Cookie予約ページやホームページで分析ツール・広告タグを使う場合は、その旨と停止方法

特定商取引法に基づく表記が必要になるのは、どんなときか

店頭で予約を受けて施術し、その場で支払いを受けるだけであれば、特定商取引法の通信販売には当たりません。一方で、ホームページや予約サイト、SNSのDMなどで申込みを受ける形は、通信販売に当たる可能性があり、その場合は広告(予約ページや販売ページ)に法律で定められた事項を表示する必要があります(特定商取引法11条、同法施行規則23条)。事前決済の有無にかかわらず、ネットで申込みを受ける場合や、ネイルチップ・ケア用品をネットで販売する場合は、表示を備えておくのが安全です。

特商法表記で、ネイルサロンが特に気をつけたい項目
項目ネイルサロンでの書き方のポイント
事業者の氏名・住所・電話番号自宅サロンで公開を控えたい場合、請求があれば遅滞なく開示する旨を表示する方法がある(省略できる条件を確認のうえで)
料金オプションで料金が変わること、通常と異なる材料を使う場合の追加料金と、その場合は事前に案内して同意を得ること
支払方法・時期使える決済手段を具体的に挙げる(使えないものも書いておくと親切)
キャンセル・返金施術の性質上、施術後の返金は受けないこと。返金が生じた場合の方法(元の支払方法で返す等)
物販(ネイルチップ等)返品の可否と条件。ネットで商品を売る場合、返品の特約を販売ページと申込みの最終確認画面の両方に表示していないと、商品を受け取った日から8日以内は返品に応じることになる(特定商取引法15条の3)

あるサロンの表記では、ジェルで皮膚トラブルを起こしたことがあるお客様の施術をお断りすることがある旨、異常が出た場合は皮膚科の受診をおすすめする旨も書き添えていました。表記は規約と矛盾しないように作るのが原則です。

事務所の実務メモ:規約・ポリシーの修正で、実際に直したポイント
  • 複数の事業をまとめて対象にした大きなポリシーを、実際の事業(サロン・スクール)に絞り込み、取得経路(LINE・チャットツール・オンライン会議)や委託先の監督、安全管理措置を追加しました。
  • 同じ店の利用規約と特商法表記とで、合意管轄の裁判所名が食い違っていた例がありました。関連書類はまとめて点検します。
  • スクールの規約では、個別相談会で案内した最新のカリキュラムを契約内容の基準とし、相談会から期間が空いた申込みにはその時点の料金を適用する、と書き分けました。
  • 規約型の書類にも、氏名・記入日の同意確認欄を設け、同意の証拠を残せるようにしました。

よくあるご質問

利用規約はどこに載せればよいですか?

ホームページ、予約ページ、公式LINE、Instagramのプロフィールなど、予約の前にお客様が確認できる場所に掲載します。初回のカウンセリング時に、重要な点(キャンセル・お直し)を口頭でも説明しておくと、後からの「聞いていない」を防げます。

ネイルのお直し保証は何日にすればよいですか?

事務所が作成した規約では、施術完了から7日以内・店の過失による不具合に限る形にしました。期間と同じくらい重要なのは、原因(店の過失か、日常の使い方か)と申請方法、対象外の具体例を書いておくことです。

お客様のアレルギー情報を記録するとき、注意することはありますか?

内容によっては要配慮個人情報に当たる可能性があり、その場合は取得に本人の同意が必要です。カウンセリングシートに利用目的を示し、同意の欄を設けておきます。保管方法と保管期間もプライバシーポリシーに書きます。

予約サイトを使っていれば、特商法表記は不要ですか?

予約サイトの運営会社が表示しているのは、運営会社自身の情報です。サロンが通信販売の売主・役務提供者に当たる場合は、サロンとしての表示が必要になることがあります。予約ページや自社サイトに掲載しておくのが安全です。

施術写真をSNSに載せるのに、毎回同意書が必要ですか?

爪だけの写真であれば、規約で掲載のルールを示し、希望しない方は申し出ていただく形が一般的です。顔が写る写真や、個人が分かる情報を載せる場合は、その都度明確な同意をいただきます。

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本ページは一般的な情報提供です。個別の店舗・スクールに必要な対応は、提供内容、料金の受け取り方、申込みまでの流れによって異なります。実務傾向に関する記述は、アトラス行政書士法人が作成・レビューしてきた美容系サロン・スクールの契約書・規約を、個別の事業者が特定できない形に整理したものです。参考: e-Gov法令検索 / 消費者庁 特定商取引法ガイド / 公正取引委員会 フリーランス法 / 個人情報保護委員会

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