施術同意書(カウンセリングシート)に入れる項目
| 項目 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 施術内容の確認 | 当日の施術メニュー、デザイン、追加・変更の内容 | 当日の変更も同意で確定させ、後からの「頼んでいない」を防ぐ |
| 申告事項 | アレルギー、爪や皮膚の状態、妊娠・服薬・通院の有無、過去のトラブル | 申告がなかった場合の扱いもあわせて書く |
| 想定される反応 | 赤み・かゆみ・乾燥・爪の一時的な変化など | 具体的に書き、通常想定される範囲であることを説明する |
| 施術を断る・中止する基準 | 感染症や皮膚疾患が疑われる場合、強い痛みや腫れがある場合など | 判断が合理的である限り、断ったことの責任は負わないとする |
| 仕上がりの個人差 | 持ちや仕上がりには個人差があること、結果を保証しないこと | 「思っていたのと違う」型のクレームの予防 |
| アフターケア | 日常の注意点、異常があったときの連絡方法 | 指示を守らなかった場合の扱い |
| 説明を受けたことの確認 | 説明を受けて理解し、質問の機会があったこと | 説明者(店側)の署名欄も設ける |
申告していただくことと、施術を断る基準
ネイルの施術では、ジェルやリムーバーなどの薬剤に対するアレルギー、爪の薄さや亀裂、皮膚の炎症などが、トラブルの主な原因になります。カウンセリングの段階で、次のような点を確認し、記録に残しておきます。
- ジェル・アクリル・リムーバー等で、過去にかゆみ・腫れなどが出たことがあるか
- 爪の変色・剥離・痛み・腫れなど、気になる症状があるか
- 皮膚疾患や感染症の治療中でないか
- 妊娠中か、医師から指示を受けている治療・服薬があるか
爪や皮膚に病気が疑われる状態のお客様には施術を控え、医療機関の受診をおすすめします。爪の疾患の判断や治療は医療の領域で、サロンが判断を引き受けるべきものではありません。医師の治療を受けている方や妊娠中の方には、事前に医師に相談していただくようお願いする書き方もあります。
施術前の爪の状態を写真で記録しておくと、施術後に「施術で爪が傷んだ」という相談があったときに、元の状態を確認できます。写真を残す場合は、その目的をプライバシーポリシーと同意書に書いておきます。
「一切責任を負いません」は、なぜ危ないのか
同意書で最も誤解が多いのが、免責の書き方です。お客様が消費者である場合、消費者契約法により、次のような条項は無効になります。
| 条項の例 | 扱い |
|---|---|
| 「アレルギーや体質によるトラブルについて、当店は一切責任を負いません」 | 店の損害賠償責任の全部を免除する条項として無効(消費者契約法8条1項1号・3号) |
| 「当店に故意または重大な過失があっても、賠償額は施術料金を上限とします」 | 故意・重大な過失による責任の一部を免除する条項として無効(同項2号・4号) |
| 「法令で許される範囲で、当店の責任は施術料金を上限とします」 | 軽い過失の場合に限ることが明らかでない一部免除の条項として無効(同条3項) |
責任の範囲を限定したい場合は、「当店の故意または重大な過失による場合を除き」と、軽い過失の場合に限ることを明示したうえで、上限を定める形にします。また、上限の金額が低すぎると、それ自体が不当とされることがあります。身体に関わるサービスでは、特に慎重に決めましょう。
「通常想定される反応」を具体的に書く
事務所が作成した美容施術の同意書では、施術後に起こりうる反応(赤み・かゆみ・乾燥・軽い炎症など)を具体的に挙げ、それが通常想定される範囲内である場合には、店の責任を問わないことを確認する形にしました。すべてを免責するのではなく、「説明済みの、通常想定される範囲」に限定しているのがポイントです。
あわせて、申告がなかったことや虚偽の申告、アフターケアの指示を守らなかったことによる結果は、店に責任がない限りお客様の負担とする、と書いておきます。
同意書と、利用規約・回数券契約書との関係
同意書、利用規約、回数券の申込契約書は、それぞれ別の書類ですが、内容が食い違うと、どれが優先するのかが問題になります。事務所が作成する書類では、同意書を施術契約の一部と位置づけ、定めのない事項は契約書(規約)によることを明記して、書類どうしの関係をはっきりさせています。
- キャンセル・返金は規約と回数券契約書で決め、同意書には繰り返さない
- 免責・責任の範囲は一か所にまとめ、他の書類からはその条項を参照する
- 未成年のお客様は、親権者の同意欄を設ける(スクールでは同意を確認する書類の提出を求める例もある)
- タブレットや電子署名で同意を取る場合は、どの版の同意書に同意したかを記録に残す
トラブルが起きたときの対応を、あらかじめ決めておく
万一、施術後にお客様から相談があった場合に、誰が・どのように対応するかを決めておくことも大切です。個人サロンの同意書では「誠意をもってお話を伺い、適切に対応します」と柔らかく書く例が多く、業務委託のスタッフがいる店では、スタッフとの契約で「お客様への対応は誰が行い、費用を誰が負担するか」を決めておきます(店の設備や管理体制が原因の場合は店が負担する、など)。賠償責任保険への加入も、あわせて検討しておきましょう。
- 当初「アレルギーや体質によるトラブルは一切責任を負いません」としていた書き方を、通常想定される反応の範囲に限る形と、軽い過失に限った責任の範囲の定めに分けて書き直しました。
- 賠償の上限を「支払った料金の総額」としつつ、故意・重大な過失の場合にまで上限が及ぶ書き方になっていたため、適用範囲を明確にしました。
- 同意書と契約書の関係が書かれていなかったため、同意書を契約の一部とし、優先関係を明記しました。
- 効果をうたう表現(「必ず」「改善する」など)は、医療や薬機法に関わる表現規制の観点から避け、「個人差があり、結果を保証しない」という書き方にそろえました。
よくあるご質問
施術同意書には、お客様の署名が必要ですか?
署名(または電子的な同意の記録)を残しておくのが基本です。ただし大切なのは署名そのものより、何を説明し、お客様が何を申告したかの記録です。説明者欄を設け、店側も確認したことを残します。
同意書に「一切責任を負いません」と書けば安心ですか?
お客様が消費者の場合、店の賠償責任をすべて免除する条項は消費者契約法により無効です。責任を限定したい場合は、軽い過失の場合に限ることを明示したうえで範囲を定めます。
毎回同意書を書いてもらう必要がありますか?
初回にカウンセリングシートと同意書を取り、2回目以降は体調や爪の状態の変化を確認して記録する運用が一般的です。施術内容が大きく変わる場合や、新しい薬剤を使う場合は、改めて説明と確認を行います。
爪の病気が疑われるお客様が来たら、どうすればよいですか?
施術を控え、医療機関の受診をおすすめします。施術を断る基準を同意書や規約に書いておくと、その場で説明しやすくなります。断ったことで生じる不利益について、判断が合理的である限り責任を負わないことも書いておきます。
同意書は紙と電子のどちらがよいですか?
どちらでも構いません。電子で取る場合は、どの版の同意書に、いつ同意したかを記録できる方法を選びます。
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