このページの要点
- 第20回は2026年11月5日受付開始、12月15日17時締切の予定。事業支援計画書(様式4)の発行受付は12月4日まで。
- 補助率は3分の2、補助上限は原則50万円。ネイルサロンは、サービス業の常時使用する従業員5人以下の基準で見る。
- いつもの機械の取替え、消耗品、名刺、求人広告は対象外。新メニューのための機器や、チラシ・看板・予約ページが中心。
- 補助金は後払い。交付決定の前の発注・支払、10万円超の現金払いは対象外になる。
最初に結論:第20回は11月5日から。使えるのは、新しい売り方のための経費。交付決定の前に発注しない
結論
ネイルサロンの経営者から寄せられる相談に、「新しい施術メニューを導入したいが、機器や集客の費用が重い」というものがあります。たとえば、足の角質ケアのメニューを加えるときに、専用の機器、新メニューのチラシ、予約ページの改修をまとめて整えたい、といった場面です。そのときに検討されるのが、小規模事業者持続化補助金です。
アトラス行政書士法人が作成してきたネイルサロン向けの持続化補助金の資料(経営計画書・補助事業計画書の書き方、ヒアリングシートの記入例)の考え方を土台にしています。ただし、公募回ごとに要件や上限が変わります。このページは、2026年10月18日時点で公表されている第20回公募(一般型・通常枠)の公募要領(第8版・2026年7月21日更新)にもとづいて、ネイルサロンの目線で整理したものです。申請の前には、必ず、事務局の最新の公募要領を確認してください。
第20回公募の主な内容(公募要領第8版にもとづく)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請受付 | 2026年11月5日(木)から。締切は2026年12月15日(火)17時(予定は変更される場合があります) |
| 事業支援計画書(様式4)の発行受付締切 | 2026年12月4日(金)。これ以後の依頼は、いかなる理由でも受け付けられない |
| 採択発表 | 2027年3月頃の予定 |
| 補助率・補助上限 | 補助率は3分の2(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は4分の3)。補助上限は原則50万円 |
| 特例による上乗せ | インボイス特例で50万円、賃金引上げ特例で150万円、両方で200万円の上乗せ(それぞれ要件あり) |
| 補助事業の実施期間 | 交付決定日から2028年3月31日まで |
| 申請方法 | 電子申請のみ。GビズIDプライムなどのアカウントが必要(取得に数週間かかる) |
商工会地区と商工会議所地区で、事務局のサイトと、様式4の発行の手続が異なります。
対象になる事業者:従業員の数え方に注意
補助対象は、小規模事業者です。商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)は、常時使用する従業員の数が5人以下の事業者です(商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律2条)。美容業のネイルサロンは、サービス業にあたり、この5人以下の基準で見ることになります。個人事業主も、株式会社などの法人も対象です。
「常時使用する従業員」の数え方は、公募要領に具体的に書かれています。労働基準法20条の解雇予告を必要とする者をいい、日雇労働者、2か月以内の期間を定めて使用される者、季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者、試用期間中の者は含まれません。会社役員と同居の親族の従業員も含まれません。
従業員に数えるか(公募要領の考え方)
| 働き方 | 数えるか | 補足 |
|---|---|---|
| 正社員・期間の定めのないパート | 数える | 短時間でも、常時使用される雇用であれば対象になる |
| 日雇、2か月以内の短期雇用、季節的業務の4か月以内の雇用 | 数えない | 公募要領に明記 |
| 試用期間中の人 | 数えない | 公募要領に明記 |
| 会社役員、同居の親族の従業員 | 数えない | 公募要領に明記 |
| 業務委託のスタッフ | 雇用ではないため、数えない扱いになると見られる | 働き方の実態が雇用と判断されると、従業員として数えられる可能性がある。実態はサロンスタッフを雇用から業務委託に切り替えるときの判断要素で確認する |
業務委託のスタッフが多いサロンは、雇用と業務委託の判断が、補助金の対象者の判定にも関わります。
ほかにも、対象者の要件があります。申請の時点で開業していない創業予定者は対象外です。税務署に開業届を出していても、開業届上の開業日が申請日より後であれば対象外となります。また、過去に持続化補助金で採択されて事業を実施した事業者は、「事業効果および賃金引上げ等状況報告書」(様式14)の提出を完了している場合に、あらためて申請できます。直近3年分の課税所得の年平均額が15億円を超える事業者などは対象外です。
特例を使うかどうか
第20回には、補助上限を上乗せする二つの特例があります。どちらも、要件を一つでも満たさないと、上乗せ部分だけでなく、補助金の全体が交付されません。使うかどうかは、補助事業が終わる時点までの見通しで判断します。
二つの特例の要点(公募要領第8版)
| 特例 | 上乗せ | 主な要件 | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| インボイス特例 | 50万円 | 補助事業の終了時点で適格請求書発行事業者の登録を受けていること。2021年9月30日から2023年9月30日の属する課税期間で一度でも免税事業者だった事業者、または2023年10月1日以降に創業した事業者 | 以前にこの特例(または旧公募回のインボイス枠)を使った事業者は対象外。登録通知書の写しの提出が必要 |
| 賃金引上げ特例 | 150万円 | 補助事業実施期限日(2028年3月31日)を終点とする12か月と、その前年同月の12か月を比べ、従業員1人あたりの給与支給総額を年平均3.0%以上増加させること。事業場内最低賃金が地域別最低賃金以上であること | 対象の「従業員」は、申請要件の「常時使用する従業員」とは別の考え方(非常勤を含み、代表者・役員・専従者は含めない)。採択後に目標値を従業員へ表明し、賃金台帳の提出も必要 |
両方を満たすと、上乗せは200万円です。賃金引上げ特例は、スタッフが退職して算定できなくなると、交付されません。
また、同じ補助事業(取組)について、国の他の補助金を重ねて受けることはできません。他の補助金を受けている、または受ける予定のときは、双方の事務局に、あらかじめ確認します。
ネイルサロンの「販路開拓」の考え方
この補助金が支援するのは、小規模事業者が自ら策定した経営計画にもとづく、販路開拓等の取組と、それとあわせて行う業務効率化(生産性向上)の取組です。公募要領は、販路開拓の例として、新たな市場への参入に向けた売り方の工夫、新たな顧客層の獲得に向けた商品の改良・開発をあげています。
ネイルサロンで言えば、次のような取組が、販路開拓の考え方に当てはまります。足の角質ケアの新メニューを加えて、これまで来店していなかった層(男性、年配の方)に届ける。ブライダルや成人式向けの専用メニューを作り、前撮りの写真館などに紹介してもらう。予約ページを整え、LINEと連携して、新規のお客様が予約まで迷わない導線を作る。いずれも、「誰に」「何を」「どう届けるか」が説明できて、売上と売上総利益の増加が見込まれる取組であることが必要です。
対象になる経費:区分ごとに、ネイルサロンでの例と注意
補助対象になる経費は、機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、旅費、新商品開発費、借料、委託・外注費の八つの区分です。ネイルサロンで使うことの多い区分を、公募要領の要点とあわせて整理します。
ネイルサロンで使うことの多い経費区分
| 区分 | ネイルサロンでの例 | 公募要領の主な注意 |
|---|---|---|
| 機械装置等費 | 新メニュー専用の機器(取替えではないもの) | 単価50万円(税抜)以上のものは処分制限財産となり、補助金受領後も処分が制限される。1件50万円(税込)超は2者以上の見積が必要。中古品は条件あり |
| 広報費 | 新メニューのチラシ、ポスター、看板、インターネット広告など | 広報費のみの申請はできない。補助金の申請額の上限は30万円(税込)。商品・サービスの宣伝を目的としたものに限る |
| ウェブサイト関連費 | 新メニューの紹介ページ、予約・LINE連携の設定、顧客管理の仕組み | ウェブサイト関連費のみの申請はできない。補助金の申請額の上限は30万円(税込)。補助事業期間内に運用に至らないものは対象外。既に導入しているソフトの更新料は対象外 |
| 委託・外注費 | 店舗の改装工事(新メニューのための施術スペース、バリアフリー化など) | 自ら実行することが困難な業務に限る。委託内容・金額の分かる契約書が必要。50万円(税抜)以上の工事は処分制限財産となりうる。申請書類の作成費用は対象外 |
| 借料 | 新メニューのための機器のリース・レンタル | 採択後、交付決定までに見積書等で確認できるもの。自主事業など補助事業以外にも使うものは対象外 |
区分と上限の最終確認は、必ず、最新の公募要領の「補助対象経費」で行ってください。
支払いと証拠書類
補助金の対象になる経費は、交付決定日以降に発生して、補助事業期間中に支払いが完了したもので、金額が証拠書類で確認できるものに限られます。支払いは銀行振込が大原則で、1取引10万円(税抜)を超える支払いは、現金払いが認められません。クレジットカードは、申請する事業者の名義で、補助事業期間内に引き落としまで完了しているものに限られます。代表者や従業員が個人のカードで払うと、立替払いとして、帳簿で確認できなければ対象外になります。
申請の流れ:自分で計画をつくり、商工会・商工会議所の支援を受ける
この補助金は、小規模事業者自身が、経営計画・補助事業計画の策定や、採択後の事業の実施で、商工会・商工会議所の支援を直接受けながら取り組む事業です。公募要領は、社外の代理人のみで、地域の商工会・商工会議所に相談したり、事業支援計画書(様式4)の発行を依頼したりすることはできないと定めています。申請する事業者本人が、自分の事業の言葉で計画を語れることが前提です。
申請から補助金の受取りまで
- GビズIDプライムなどのアカウントを取得する電子申請に必要です。取得に数週間かかるため、早めに登録します。登録情報が古い場合は最新にします。
- 経営計画と補助事業計画を作る(様式2)自店の強みと課題、お客様の層、競合の状況、取組の内容、売上・売上総利益の増加の見込みを書きます。
- 商工会・商工会議所に事業支援計画書(様式4)の発行を依頼する発行受付の締切は2026年12月4日。商工会地区は、窓口で面談を行って発行を受けます。商工会議所地区は、発行を受けたPDFを電子申請システムにアップロードします。
- 電子申請で提出する受付締切は2026年12月15日17時。必要書類が全部そろっているかを確認してから提出します。
- 採択後、見積書等を提出し、交付決定を受ける価格の妥当性を示す見積書(相見積を含む)を提出します。交付決定には、採択発表から概ね1〜2か月かかることがあります。
- 交付決定日以降に、事業を実施し、支払いを完了する発注、契約、納品、検収、請求、支払の流れと、証拠書類を残します。
- 実績報告書を提出し、補助金額の確定を受ける事業終了後に、実績報告書と経理書類を提出します。確定後に補助金を請求し、受け取ります。
- 事業終了から1年後に、事業効果報告書を提出するこれを提出しないと、次の公募に申請できません。
補助金は後払いです。事業にかかる全額を、いったん自己資金や借入で支払う必要があります。
計画書の数字の作り方:根拠を、分解して示す
審査では、取組の具体性と、売上高・売上総利益の増加の見込みの根拠が見られます。公募要領は、客観的なデータを用いた市場や顧客ニーズの分析、営業方針、新規取引や値上げの見込みなどの根拠と、定量的な成果を、補助事業計画に書くよう求めています。ネイルサロンの計画では、数字を「既存のお客様」と「新規のお客様」に分けて、二重に数えないことが大切です。
増収の根拠の分解例(数字はすべて架空)
- 既存のお客様への追加年間来店1,200回 × 新メニューを追加する割合20% × 税抜3,000円約72万円
- チラシ経由の新規配布2,000枚 × 反応率0.3% = 6人 × 年4回 × 税抜8,000円約19万円
- 合計上の二つの合計(万円未満は切り下げて目標にする)約91万円
「見込みの合計の約8割を目標」のように根拠のない割り引きをせず、見込みを積み上げた数字を、端数を切り下げて目標にするほうが、説明が通りやすくなります。
計画書を書く前に、集めておきたい数字
- 既存のお客様の人数と、年間の来店回数は、どう数えましたか。予約システムの記録から出します。来店の合計が、顧客数 × 回数と食い違わないようにします。
- 新メニューへの関心は、何人に聞いて、何人が「受けてみたい」と答えましたか。アンケートの人数と回答を書きます。実際に追加する割合は、関心を示した割合より低く見積もります。
- 近隣の同業店は、半径何キロ、何店で、価格帯はどうですか。調べた範囲と日付を決めて書きます。調べていない数字は書きません。
- 新規のお客様を、どの手段で、どれだけ見込みますか。チラシの配布数と反応率、予約ページの閲覧数と予約率など、自店で測れる数字にします。
- 売上と売上総利益の、現状の数字は。直近の確定申告または決算の数字を、税抜に統一して書きます。
事務所の書類では
事務所のネイルサロン向けの資料では、計画書の数字を、「既存のお客様の来店回数 × 新メニューの追加率」と「新規のお客様の数 × 来店回数」に分解し、二重計上をなくす書き方を重視しています。ヒアリングでは、お客様が実際に調べた数字だけを使い、調べていない数字は空欄のままにします。書かれた数字の根拠を、事務局や商工会に聞かれたときに、本人が説明できることが大切だからです。
また、補助金の応募書類を作成するための費用は、補助対象外です。申請の準備にかかる費用は、補助金で賄えないものとして、資金計画に入れておきます。
採択されなかったとき、次の公募のとき
採択は審査によるため、計画が適切でも、採択されないことがあります。その場合に備えて、補助金がなくても実施する取組なのか、採択されたときだけ実施する取組なのかを、申請の段階で決めておきます。採択されなくても実施する場合は、実施の時期と資金を、別に確保します。採択されたときだけ実施する場合は、交付決定の前に発注しないことが、そのまま資金の守りになります。次回以降の公募の予定は、第20回の受付締切の後に、事務局から案内される予定です。計画書は、次の公募でも使える形で、数字の根拠の資料とあわせて残しておきます。
起きがちなことと、備え
持続化補助金は、お金をもらう制度というより、新しい売り方の計画を磨き、実行する制度です。新メニューの導入にあたって、免許や届出が要るかを先に確認するにはネイルサロンでまつげエクステ・眉毛メニューを始めるとき、スタッフの働き方の整理はサロンスタッフを雇用から業務委託に切り替えるとき、開業前の全体像はネイルサロン・自宅ネイルサロンの始め方を参照してください。
よくあるご質問
ネイルサロンは、持続化補助金の対象になりますか。
商業・サービス業で、常時使用する従業員の数が5人以下の小規模事業者であれば、対象になりえます(商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律2条)。ただし、申請の時点で開業していることが必要で、開業前の創業予定者は対象外です。
補助率と上限額はいくらですか。
第20回公募(一般型・通常枠)では、補助率は3分の2(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は4分の3)、補助上限は原則50万円です。インボイス特例で50万円、賃金引上げ特例で150万円、両方で200万円が上乗せされる場合がありますが、それぞれ要件があります。回ごとに変わるため、最新の公募要領を確認してください。
申請の前に、機械やチラシを発注してもよいですか。
いけません。交付決定の前に、発注・契約・購入・支払(前払いを含む)をしたものは、補助対象外です。採択されても、交付決定通知書に記載された日付より前の発注は対象になりません。
古くなったネイルマシンの買い替えにも使えますか。
使えません。通常の事業活動のための費用や、単なる取替え更新の機械装置等は補助対象外です。新しいサービスの提供や、新しい顧客層の獲得のために、新たに必要になる機器かどうかが問われます。
専門家に頼めば、商工会・商工会議所への相談を任せられますか。
任せられません。公募要領は、社外の代理人のみで、商工会・商工会議所に相談したり、事業支援計画書(様式4)の発行を依頼したりすることはできないと定めています。申請する事業者本人が、支援を受けながら計画を作る必要があります。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の店舗への当てはめは、提供するメニュー、スタッフの働き方、お客様が事業者か個人かなどによって異なります。事務所の書類での扱いとして紹介している内容は、アトラス行政書士法人が作成・レビューしてきたネイル・まつげ・眉などの美容系サロンの利用規約、業務委託契約書、誓約書、同意書などの実務に基づくものを、依頼者が特定できない形に整理したものです。条文は e-Gov法令検索で確認しています(最終確認日:2026年10月18日)。参考: e-Gov法令検索 / 消費者契約法(消費者庁) / 公正取引委員会 フリーランス法 / 個人情報保護委員会 / 厚生労働省 / 国民生活センター / 小規模事業者持続化補助金(商工会地区の事務局) / 同(商工会議所地区の事務局)